情報の「捨て方」
元マイクロソフト社長・成毛眞さんの著書。情報のインプット・アウトプットを繰り返して「おもしろいこと感知センサー」の感度を高め続けることで、「教養」が骨身に染み込み、人生一段と楽しくなるんだろうなあと、漠然と感じた一冊でした。
- 作者: 成毛眞
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2015/05/09
- メディア: Kindle版
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個人的には、
1.興味のある情報(大学政策、学問全般、政治経済、教育など)
2.仕事に関する情報(IT全般、ビジネス、起業など)
3.注目する人が発信する情報
以外の情報を仕入れておらず、かなり堅苦しい感じがするので、まずは「落語」を観に行こうかと思います。
誰でも研究に参加できるサイト「Zooniverse」が面白い
研究者が研究者以外の人たちの協力を得ながら研究を進める「Citizen Science」の流れが生まれてきているようです。
「Zooniverse」は、Citizen Scienceの各種プロジェクトがまとめられているアメリカ発のプラットフォームです。世界中のボランティアが主体となり、天文学や生物学、物理学などの研究を進めていきます。
Galaxy Zoo
「Galaxy Zoo」は、2007年に立ち上げられた銀河の分類を行うサイトです。
サイト開設後1年間で、延べ15万人のボランティアが、5000万件以上の銀河の分類を行ったそうです。Sloan Digital Sky Surveyのデータを利用しているとのことです。論文もたくさん出版されています。
Chimp&See
「Chimp&See」は、アフリカの森林に生息する動物たちを観測するプロジェクトです。
意外とたくさんの種類の動物(時には人間も!)が出てきます。いつどのような動物が出没するかわからないスリルを味わうことができる点が面白いと思います。
Higgs Hunters
Higgs Huntersでは、欧州原子核機構(通称:CERN)にある大型ハドロン衝突型加速器(通称:LHC)で得られたデータを利用して、理論的に予言されている(けれども実験では発見できていない…!)新粒子の発見に貢献することができます。
Citizen Scienceの未来
「Citizen Science(市民科学)」は、研究の各プロセスを専門知識を必要としない作業に落とし込める研究テーマとの相性が良く、おもしろい取り組みだと思うのですが、ヒトモノカネの流動性の少ないトピックなので、Zooniverseのようなサイトを継続させるだけでも難しい印象です。
とはいえ、人々の理解や協力を得ながら研究を進めていくことができれば、アカデミアと社会の間の敷居を下げる機会が増えるので、今後とも注目していきたいと思います。
以下の著書「オープン・サイエンス革命」では、上記の取り組みはもちろん市民科学の失敗例や成功のポイントについて著者マイケル・ニールセン氏の私見がまとめられてます。参考文献も豊富です。ご興味のある方は、ぜひ。
- 作者: マイケル・ニールセン,高橋洋
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2013/03/28
- メディア: 単行本
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マイケル・ニールセン氏の講演動画もオススメです。
資本主義の終焉と歴史の危機
本書のメッセージは、「グローバル化を推進することは、資本主義の寿命を縮めることになるので、「脱成長という成長」を目指しながら、資本主義の代わりとなる社会システムを考えていこう!」というものです。
- 作者: 水野和夫
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: 新書
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著者の主張は何となく理解したつもりではいるものの、具体的な情報があまり書かれていないこともあり、腑に落ちない点がいくつかありました。特に、本書の核心部分でもある「16世紀の価格革命」と「21世紀の価格革命」に関する記述がイマイチなので、時間を置いてもう一度読んでみようと思います。
academist、リリースから1年が経ちました。
学術系クラウドファンディング(CF)サイト「academist(アカデミスト)」のリリースから、今日で1年が経ちました。
良い機会なので、アカデミストのこれまでの実績と運営する中で気付いたことを簡単にまとめていきたいと思います。
13名の研究者で、支援総額1000万円を達成!
当初は1年後まで存続できているイメージをなかなか持てていませんでしたが、1年間で13名もの研究者に挑戦していただき、支援総額1000万円強に到達しました。(※未達成のプロジェクトも含まれているため、研究者に配分された研究費の総額ではありません。)
数ある国内CFサイトの中で比較するとアカデミストの規模は小さいのですが、学術系に限定すると国内外を含めてもトップ10に入ります。チャレンジャーが限定されているため、かなり小さなマーケットであると言えます。
【参考】国内外学術系CFサイト(プロジェクト数)ランキング
第1位:Experiment(250個以上)
第2位:Pozible(60個程度)
第3位:science starter(60個程度)
第4位:YuStart(35個程度)
第5位:PETRIDISH(20個程度)
第X位:academist(13個)
(注)第2位のPozibleは学術系特化型ではありませんが、Researchカテゴリが大変充実しているので特別に記載しています。
アカデミストが使われない3つの理由
リリース当初は、チャレンジしようとする研究者は全く現れませんでした(今でもほとんどいませんが…)。これまでのチャレンジャー13名は、こちらから挑戦依頼を行い引き受けていただいた方がほとんどです。
また、リリース時は学術系CFのニーズがあるかどうかよくわからないサービスでした(今でも諸々わからない点はありますが…)ので、サイト運営と並行して約150名の研究者にアカデミストのニーズ等について伺うインタビュー(対面、スカイプ、メール等)を行いました。
研究分野により特徴的な回答もあったものの、共通する部分をザックリまとめると「おもしろそう!でも私は…」という意見が多く、プロジェクトのリリースには辿り着かない場合がほとんどでした。
その理由としては、
第1位:費用対効果が悪いこと
プロジェクト作成に費やす時間や獲得可能な金額(数十万円〜百万円程度)、失敗のリスクを考えると、その時間を研究を費やしたいという意見が多くありました。
第2位:教授の賛同を得られないこと(主にポスドク、大学院生)
アカデミストにチャレンジしよう!と決断したのに、教授から「そんなことをする時間があれば研究を進めなさい!」という正論(?)を言われて断念せざるを得ないことも何件かありました。
第3位:事務側の賛同を得られないこと(大学院生は除く)
アカデミストにチャレンジしよう!教授の賛同も得られた!にも関わらず、事務から「前例がないためクラウドファンディングが一般的になるまでは対応できません」と言われて断念することもありました。「一般的なサービスにするためには前例をたくさん作る必要があるのですが、一般的なサービスでない限り前例を作ることができない」というミレニアム問題です…。
アカデミストが使われる3つの理由
それでは、アカデミストにチャレンジする理由はどのようなところにあるのでしょうか。
第1位:研究費を募れること
数十万円で論文になる研究テーマを扱う研究者からすると、研究費を募れること自体がメリットになります。また、メインとなる研究費を十分に持つ研究者でも、その利用用途が限定的である場合が多々あります。アカデミスト研究費は利用用途を指定しないため、メインの研究費と並行して利用できることもひとつのメリットです。
第2位:研究内容を広められること
研究分野の魅力や概要を「クラウドファンディングに挑戦しています!」という形で発信するため、研究室や個人サイトと比べるとアクセス数は多くなり、結果的に研究分野に関する認知度が高まります。近年、サイエンスカフェをはじめとしたアウトリーチ活動の必要性が文科省界隈で議論されていますが、アカデミストのチャレンジそのものがオンライン版のアウトリーチ活動となります。
第3位:支援者からのメッセージが届くこと
チャレンジャーの方々から、支援の際の「応援メッセージ」をもらえることが嬉しいという感想をよくいただきます。アカデミスト第一弾プロジェクトで実際にチャレンジしていただいたテヅルモヅル博士・岡西さんは「これだけたくさんの方がテヅルモヅルに興味を持っていることを知り驚いた」と仰っていました。
インタビュー動画もありますので、ぜひご覧ください。
魅力的な研究者が集うプラットフォームを目指して
アカデミストの1年目の成果と学術系CFに関する知見を超圧縮してまとめてみました。実際にサービスを動かして具体的事例を積み重ねることで、アカデミストの強みや弱み、今後の方向性が浮き彫りになり、またサービス自体の着地点も何となく見えてきたため、2年目も愚直に開発を続けていきたい所存です。
最後になりましたが、アカデミストは実にさまざまな方々のご協力・ご助言に支えられて2年目を迎えることが出来ています。研究者の皆様をはじめ、大学や民間企業、メディア関係者の皆様、そして数少ない貴重な友人・先輩・後輩からのアドバイスを反映させながら、より良いサービスになるよう努めますので、引き続き、宜しくお願いいたします。
未来の地球を守る「宇宙天気予報」
太陽フレアの発生
先週11日、太陽フレアが発生したようです。
太陽フレアとは、太陽表面で生じる大爆発のことです。爆発そのものは地球に影響を与えないのですが、爆発によりエネルギーの大きな荷電粒子(電気を帯びた粒)が地球に到達すると、GPSなどの通信網に影響を与えることがあります。
宇宙天気予報の実現に向けて
太陽フレアから私たちの生活を守るためには、フレアが発生した際に「どれくらいのエネルギーを持つ荷電粒子が、どれくらい地球に到達するのか」を知ること、つまり、宇宙天気予報を正確に行えるようになることが必要です。
京都大学理学研究科附属天文台の柴田一成教授は、宇宙天気予報の完成を目指し、日々研究を進めています。
柴田先生、クラウドファンディングに挑戦中!
しかし、柴田先生が研究を行う飛騨天文台は、建設後10年が経過したため国からの維持費のサポートが終了してしまいました。そこで柴田先生は、クラウドファンディングを利用して、維持費の一部を集める活動をされています。支援者の方々には、太陽フレアTシャツや天文台への氏名掲載等のリターンがありますので、ぜひ、ご支援よろしくお願いいたします。