IndieGoGoとKickstarterの比較

米国の2大クラウドファンディングプラットフォーム

IndieGoGo Kickstarter は米国の2大クラウドファンディングプラットフォームとして知られていますが、両者はどのような点で似ていて、どのような点で異なるのでしょうか。Jonathan Lau 氏の記事データを基に比較してみたいと思います。

 

Kickstarter の圧倒的勝利

まず、基本情報をまとめました。

  IndieGoGo Kickstarter
ローンチ 2008年1月 2009年4月
対象地域 世界 米国
プロジェクトの特徴 総合 クリエイティブ
プロジェクトの事前審査 なし あり
All or Nothing ×
サイト利用料 4% or 9% 5%
資金募集案件 約14万件 約11万件
資金調達総額 約9800万ドル 約6億1200万ドル
失敗したプロジェクトの総額 約7100万ドル 約8300万ドル
100万ドルを超えた案件 4件 40件
資金募集成功率 9.3% 44%

 

数字を見れば一目瞭然ですが、後発の Kickstarter が圧勝していることがわかります。それでは、ここまで大きな差が生まれた理由はどこにあるのでしょうか。

 

2つの大きな違い ~事前審査とAll or Nothingモデル~

Kickstarterのほうにお金が集まるということは、それだけ質の高いプロジェクトが揃えられているということです。IndieGoGoとは異なりKickstarterは寄せられたプロジェクトに対して事前審査が行われており、これが上手く機能しているのではないかと考えられます。

以下の表(クリックして拡大)からもわかるように、クリエイティブとはみなされないプロジェクトはKickstarterでは行われていないようです。f:id:RShibato:20130831145645p:plainまた、All or Nothing モデルを採用していることもKickstarterの強みではないかと考えられます。IndieGoGoでは目標金額を達成しなくてもそれまでに集めた資金を受け取れますが、Kickstarterでは目標金額に達成しない限り資金を受け取ることはできません。プロジェクト宣伝に対するモチベーションの積み重ねが、数字の差に現れているのではないでしょうか。

 

IndieGoGoのこれから

ここまでの動きを見ている限り、 IndieGoGoの「いつでもだれでもどこでも気軽にプロジェクトを始められる」強みが裏目に出ている印象を受けます。この特徴を変えていくことは現実的に難しいため、例えば、投資型クラウドファンディングのような新しい仕組みをどのように取り入れていくかが、Kickstarterへの巻き返しを図るためのひとつのポイントになりそうです。

研究費獲得のためのクラウドファンディングプラットフォーム一覧

前回投稿した国内クラウドファンディングプラットフォーム(=国内CFP)一覧表に引き続き、海外のCFPについてまとめました。全てのジャンルについてまとめるのは骨が折れるので、個人的に興味のある研究費獲得に特化したCFPについて紹介したいと思います。

 

sciflies

他のCFPとの大きな違いは、CFP運営者から手数料を取られないことです。CFP運営者は集まった金額の一部(海外では5~10%、日本では15~20%)を運営資金として徴収しているのですが、scifilesは運営資金をスポンサーからの寄付金に委ねているそうです。

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しかし、各プロジェクトを見ればわかるように、これまでに目標金額に達したプロジェクトは未だにありません。寄付文化が根付いているアメリカでも「寄付型」より「購入型」の方が魅力的なのではないかと考えられます。

 

FundaGeek

運営会社のNEWS RELEASE によると、技術発展と科学基礎研究に特化したはじめてのCFPであるとのことです。f:id:RShibato:20130821161003p:plain

これまでに計31個のプロジェクトが実施されているのですが、目標金額に達成したプロジェクトはひとつもありません。技術系のプロジェクトではキック・スターターなどの大型CFPには勝てず、また、科学基礎研究系のプロジェクトは後述するmicroryza のほうが盛り上がりを見せているため、今後の運営に工夫が求められそうです。

(追記:2014年2月19日)研究費獲得型から総合型に方針変換したようです。

 

PETRIDISH(現在、新規プロジェクト募集停止中)

トップページには「PETRIDISHは科学者のためのCFPである」と書かれています。また、サイト説明文にも「科学者は研究費を個人から集めることができるメリットが、個人は科学者から報酬(=論文の謝辞、フィールドワークで撮影した写真、科学者の講演など)を得られるメリットがある」と書かれているなど、運営者の意図がわかりやすく伝わるサイトであるように思います。

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全プロジェクト数はわかりませんがこれまでにサクセスしたプロジェクトは32個あるようです。ただ、2013年8月の段階では新規プロジェクトの募集は停止されています。

 

#SciFund CHALLENGE

既存のCFPであるRocket Hubに投稿された科学系プロジェクトに資金を募る活動をしています。

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科学コミュニケーションに興味のある大学教授や大学院生などが中心となり運営されているようです。

 

microryza

科学技術特化型のCFPでは最大規模ではないかと思います。

microryza に投稿されたプロジェクトに支援をして無事にサクセスすると、研究プロセスが詳細に書かれたレポートをPDF版で閲覧することができます

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各プロジェクトページには、研究計画や集めた資金の利用方法が動画で紹介されており、大学院生が行うプロジェクトのなかには集めた資金の全てを自らの給料に利用する旨を表明しているものもありました。また、生命科学分野や医学分野のプロジェクトが大半を占めていることもひとつの特徴です。

(追記:2014年2月19日)microryza から Experiment に名前を変えたようです。

 

Science Donors

現在準備中のCFPとのことですが、キャラクターが怪しいですね…。運営者情報もベールに包まれているので、これからの動きに注目したいと思います。

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おわりに

海外では種々の科学技術特化型CFPが立ち上がっているものの、全てのCFPが上手く回せているわけではありません。

継続的なサービスにするために重要なことは、運営側のビジョンを明確に提示した上で、「だれに、なぜ、どのような目的で利用して欲しいのか」を挑戦者と支援者に伝えていくことなのかもしれません。

参考文献

タイ訪問記

初の東南アジア旅行

先週末、タイを訪問してきました。
 
タイ料理や観光地に関する話題はありふれているので、あまり書かれていなさそうでかつ印象的な出来事を3つ記録しておきます。
 

象ビジネスの実態

象が完全に人間にコントロールされていました。
 
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40バーツ(=約120円)で写真のようなポーズをした象とマンツーマンで写真を撮ることができます。あなや。
 
赤服の現地スタッフは角が鋭利な棒状のサムシングを持ち、象が許可なく客から餌を貰わないように監視しているのですが・・・
 
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隙あらば餌を食い、写真撮影のためのパフォーマンスを行い、餌を食い・・・を繰り返す哀しみに満ち溢れた象の瞳を忘れることはないでしょう。
 

世界トップレベルの速度を誇るエスカレーター

タイのエスカレーター、速いです。
 
日本のエスカレーターもこれくらいの速度にすればエスカレーター乗車時間が数秒稼げてみんなハッピーになるのではないかと思いましたが、高齢者のエスカレーター事故率が上がることを踏まえると、なかなかビミョーなところですね。
 
ということを考えていると、バンコクで高齢者に遭遇することが比較的少ないことに気付きました。折角の機会なのでグーグル先生に聞いてみたところ、人口ピラミッド予測ソフト ”Population pyramid” を発見!
 
例えば、2010年の日本とタイの人口構成比較を行うと、当時の人口ピラミッドがヒジョーにわかりやすく表示されます。 
 

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まさかタイで日本の高齢化社会について考えさせられるとは思いませんでしたが、このグラフを見ると、タイで感じたある種のイケイケ感が裏付られた気がします。
 
ちなみに、2050年の人口ピラミッド(予測)で見られる美しいビールグラス型の人口ピラミッドを見ると末恐ろしくなります。是非、ご覧ください。
 

冷房の温度設定

タイのデパートや航空機内などはこれでもかというくらいにキンキンに冷房が効いており、今回宿泊したホテルでは基本設定が15度でした(寒)

ここまでキンキンに冷やされると節電大国である日本国民としてタイの電力事情を気にしないわけにはいきません。そこで、再びグーグル先生に聞いてみたところ大和総研さんの「アジア地域のエネルギー政策と日本」を発見しました。

タイに関するの記述をまとめると、「タイのエネルギー自給率は5割強であるが、天然ガスへの依存率が高いため、それを低下させ、エネルギー源の多様化を図りたい」とのことです。エネルギーのベスト・ミックスをどのように考えていくのかということは、どの国にも共通する課題ですね。

 

おわりに

油揚ば!!

 

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クラウドファンディング・プラットフォーム一覧(国内編)

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、イデア実現のための資金をインターネットを通じて多数の支援者から収集する手法のことです。2011年に国内初のクラウドファンディング・プラットフォーム(=CFP)が設立されて以降、徐々に知名度が上がってきています。

 

クラウドファンディングの分類:「購入型」「寄付型」「投資型」

クラウドファンディングは、「購入型」「寄付型」「投資型」の3種類に大別することができます。以下に、各種CFPとそれらの特徴をまとめていきます。

 

国内購入型CFP一覧(2014年2月26日(水)更新)

購入型クラウドファンディングでは、支援者は資金提供の対価として「権利」や「物品」を受け取ることができます。

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たとえば、campfireのプロジェクト「GoogleLunarX-Prizeに日本唯一の参戦!月面探査ローバーを開発。」では、月面用無人探査機の製作費用として、278人の支援者から合計2,301,520円が集まりました。このプロジェクトでは、資金提供の対価として完成品の体験操縦会に参加できる「権利」や、オリジナルTシャツなどの「物品」を受け取れるそうです。

国内購入型CFPの一覧です。

プラットフォーム名 ローンチ ジャンル 手数料
READYFOR? 2011年3月29日 総合 15%
campfire 2011年6月1日 総合 20%
GREENGIRL 2011年7月5日 総合 20%
MotionGallery 2011年7月14日 総合 10%
WESYM 2012年2月 総合 20%
Cerevo DASH 2012年3月12日 ガジェット 20%
myringHR 2012年5月30日 雇用創出  
FUN-BO 2012年6月9日 クリエイター 15%
FAAVO 2012年6月28日 地域活性 20%
countdown 2012年9月23日 総合 20%
Haps! 2012年9月25日 総合 20%
MISSION BOX 2012年11月8日 総合 20%
PICNIC 2012年11月14日 アーティスト 20%
Sportie FUND 2012年12月7日 スポーツ 15%
芸人ラボ 2012年12月21日 お笑い 30%
ALLEZ!japan 2012年12月下旬 アスリート  
NYLON PROJECT 2013年1月 ナイロニスタ 20%
kibidango 2013年3月上旬 総合 10%
LOOHP 2013年3月28日 地域活性  
SUSTENA 2013年4月頃 総合 15%
東京クラウドファンディング倶楽部 2013年4月3日 モノづくり 20%
東京カレンダー 2013年4月4日 20%
DreamSponsor 2013年4月15日 総合 20%
舞台裏のネコ 2013年4月16日 関西×芸術 20%
URARA21 2013年4月24日 総合 20%
Anipipo 2013年5月23日 アニメーション 20%
zenmono 2013年5月29日 総合 20%
ShootingStar 2013年6月12日 ビジネス支援 20%
MeeT@UP 2013年7月23日 総合 20%
bayfm78 PROJECT ROOM 2013年7月24日 ラジオ局 15%
CHANGE MAKER! 2013年8月1日 社会起業家支援 20%
UNEEDZONE.jp 2013年8月1日 総合 20%
Makuake 2013年8月7日 総合 20%
FUNDIY 2013年8月9日 漫画 15%
iikuni 2013年8月18日 地域活性 15%
3331 Crowd Funding 2013年8月 総合 15%
キッカケ 2013年9月2日 総合 15%
FanColor 2013年9月15日 総合 20%
EMERALD 2013年9月27日 総合 15%
J-CROWD MUSIC 2013年9月30日 音楽  
TOKYO DESIGN COMMIT 2013年10月28日 ファッション  
CROSSクラウドファンディング 2013年12月3日 アニメ・ゲーム・コミック  
ミライブックスファンド 2013年12月5日 出版 20%
Force of Angels 2013年12月5日 環境ビジネス 20%
Gadget Bank 2013年12月10日 ガジェット・ゲーム  
未来フェスCF 2013年12月17日 イベント 20%
Share your heart 2014 2014年02月20日 総合 12%
モノ好き 2014年02月21日 総合 10~20%
MUNEATSU 2014年02月25日 オタク支援  
UN-STARTER   総合 15%
Hands Up   総合 16%
FiRoom   映画  

 

2013年 
2014年

すでに乱立状態ではありますが、サイバーエージェントクラウドファンディングが運営する「Makuake」の参入による芸能人利用者の増加を考えると、これからも利用者・運営者ともにドンドン増えていくのではないかと予想されます。

 

国内寄付型CFP一覧(2013年12月20日(金)更新)

寄付型クラウドファンディングでは、支援者に報酬はありません。

プラットフォーム名 ローンチ ジャンル 手数料
JustGiving Japan 2010年3月 総合 10%+決済手数料
i-kifu 2012年 総合 10%+決済手数料
Kampa! 2012年6月10日 総合 なし
Talent Bank 2012年7月20日 総合 なし
ユグドア 2012年11月23日  総合  
PUSH UP! 2013年7月8日 政治家支援 10%+決済手数料
簡単カンパ      
FreeStarter 2013年12月18日 放置 0%
都知事ファイア 2013年12月19日 放置 0%

 

 

報酬型クラウドファンディングに比べると、ビジネスとして成立させるハードルは高くなります。報酬の重要性については、山本純子氏の講演資料や Makuake の集客状況を基に分析した当ブログ記事をご参考ください。

 

国内投資型CFP一覧(2013年12月9日(月)更新)

投資型クラウドファンディングでは、支援者は投資後に分配金+特典を受け取ることができる一方で、元本保証はありません。投資型の中にも、貸付型、ファンド型、株式型などと分類されることもありますが、ここではまとめて整理していきたいと思います。

プラットフォーム名 ローンチ ジャンル 手数料
maneo   総合  
セキュリテ 2009年2月16日 総合  
みんなのファンド 2012年1月17日 コンテンツ  
Crowdbank 2013年12月9日  総合  
CloFu   不動産  
東京レストランファンド   飲食  

 

投資型CFPを運営するには、貸金業法金融商品取引法に基づいたライセンスの取得を求められるため、他の2つに比べると参入障壁が高くなりそうです。

 

おわりに

国内クラウドファンディング業界の共通課題は「手数料が高いこと」です。手数料を抑えられる新しいビジネスモデルがあれば、新規参入でも継続的に戦っていけるのではないでしょうか。

※新たな情報が得られ次第、当エントリの「CFP一覧」を更新していく予定です。誤植や抜けがあればコメントいただけると幸いです。

 

参考:クラウドファンディングのビジネスモデルに関する記事

2013年8月21日:なぜクラウドファンディングはアフェリエイトを導入しないのか?

オンライン英会話「レアジョブ」を100日間受講して得られた成果

今年4月から英語のスピーキング力を身に付けるため、オンライン英会話「レアジョブ」を毎日受講しています。

 

レッスンの進め方

私の場合、以下のようにレッスンを進めています。

  1. 前日の夜までにレッスンの時間帯と講師(フィリピン大学の学生、卒業生が多数)を指定します。
  2. 翌朝スカイプを利用して25分間のレッスンを行います。ビデオはOFFにしたままでもOKです。
  3. 担当講師と初対面の場合には簡単な自己紹介を行います。
  4. Daily News Articleを音読後、質問に答えたり内容に関する議論をしたりします。
  5. レッスンの終わりに簡単な講評を受けます。

 

100日間受講して感じたメリットとデメリット

「レアジョブ」を利用するメリットは、

  • 毎日英語を声に出して話せること
  • 価格が安いこと(5000円/月)※7月から値上がりしたそうです。

です。また、Daily News Article ではなく free conversation を行うことも可能です。英語で講師の専門分野について議論するのも良いのではないかと思います。

一方、デメリットは、

  • ビミョーな講師にあたる可能性がたまにあること
  • 途中で通信不能になる可能性がたまにあること

ですが、前者の場合は、慣れてくれば講師の自己紹介文(テキスト+音声)から講師の指導レベルがわかるようになりますし、後者の場合には振替レッスンが提供されます。なので、そこまで大きなデメリットとは感じていません。

 

100日間で英語力は向上するのか

100日間の受講を通じて得られた成果は、英語を話すまでの時間が短縮されたことです。当初は、言いたいことを言葉に出来ずに10秒程度黙り込んでしまうこともあったのですが、現在では、2~3秒で適当な言葉を選んで話せるようになりました。

とは言え、まだ仕事で利用できるレベルではないため、引き続き取り組んでいきたい所存です。

 

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