クラウドファンディングとEコマースの境界線

クラウドファンディングでサクセスした「RAPIRO」の事例から、クラウドファンディングとEコマースの境界線について考えてみました。

 

「RAPIRO」とは?

「RAPIRO」とは、名刺サイズのコンピュータ「ラズベリーパイ」が導入された直径25cmの人型ロボット作成キットです。

警備ロボットとして設計したり、

 

天気予報士として設計したりできます。

 

挑戦者の石渡さん曰く、「RAPIRO」は最先端技術が盛り込まれていて売れ行きが予想できないためクラウドファンディングを利用したとのことです。はじめに米国クラウドファンディング・プラットフォームのKickstarter、次にサイバーエージェント・クラウドファンディングが運営する Makuakeで支援金の募集を行いました。

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(※以下ではMakuakeを対象として話を進めていきます。)

目標金額が3,000,000円とMakuake の中では高額のプロジェクトでしたが、それを大きく上回る5,669,000円でサクセスしています。達成金額をここまで伸ばせた理由はどのような点にあるのでしょうか。

 

プロジェクト達成までの推移

達成までの推移を追うため、縦軸を達成金額、横軸をプロジェクト開始からの日数としてプロットしました。

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このグラフから以下の2つの特徴が読み取れます。 

 

1.ローンチから数日間で急激にサポーターが増えていること

まず、プロジェクトのローンチから数日間でかなりの支援が得られていたことがわかります。はじめにドンと伸び、その後ゆるやかに伸びる様子は、以前紹介した川島永嗣氏のプロジェクトと似た傾向にあります。

 

2.サクセス後もサポーターが増え続けていること

また、サクセス後にサポーターが増え続けたことも注目に値する点ではないかと思います。「RAPIRO」の場合、支援者はクラウドファンディングに参加するというよりは、アマゾンで新製品を購入する感覚で支援しているのではないかと考えられます。

 

クラウドファンディングとEコマースの境界線

クラウドファンディングは、購入型・寄付型・投資型の3種類に分類されますが、実際のところ、購入型と寄付型がミックスされたプロジェクトがほとんどであるように思います。このようなプロジェクトでは、サポーターに

(リターンの価値)+(挑戦者を応援することへの価値)=(支援金額)

という心理が働いているのではないでしょうか。「リターンがアマゾンで売られていても買わないけど、挑戦者を応援するためなら買うよ!」というイメージです。

一方、「RAPIRO」のようなプロジェクトでは、

(リターンの価値)=(支援金額)

というように、アマゾンで新製品を購入する感覚で支援しているのではないかと考えられます。具体的なデータこそありませんが、前者に比べると後者の方がサクセス後にもサポーターが増えやすいのは直感的に正しそうですよね。

クラウドファンディングとEコマースの境界線は、「挑戦者を応援することへの価値の度合い」にあると言えるでしょう。

 

「挑戦者を応援することへの価値」を高めるために

となると、クラウドファンディング事業者の仕事は「挑戦者を応援することへの価値」を最大限に高めることです。クラウドファンディング・プラットフォームの乱立が進み分野特化型に移行している傾向が伺えますが、現段階で最も大切なことは、プロジェクトの質を高め続けていくことであることは間違いなさそうです。