研究費獲得のためのクラウドファンディングプラットフォーム一覧

前回投稿した国内クラウドファンディングプラットフォーム(=国内CFP)一覧表に引き続き、海外のCFPについてまとめました。全てのジャンルについてまとめるのは骨が折れるので、個人的に興味のある研究費獲得に特化したCFPについて紹介したいと思います。

 

sciflies

他のCFPとの大きな違いは、CFP運営者から手数料を取られないことです。CFP運営者は集まった金額の一部(海外では5~10%、日本では15~20%)を運営資金として徴収しているのですが、scifilesは運営資金をスポンサーからの寄付金に委ねているそうです。

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しかし、各プロジェクトを見ればわかるように、これまでに目標金額に達したプロジェクトは未だにありません。寄付文化が根付いているアメリカでも「寄付型」より「購入型」の方が魅力的なのではないかと考えられます。

 

FundaGeek

運営会社のNEWS RELEASE によると、技術発展と科学基礎研究に特化したはじめてのCFPであるとのことです。f:id:RShibato:20130821161003p:plain

これまでに計31個のプロジェクトが実施されているのですが、目標金額に達成したプロジェクトはひとつもありません。技術系のプロジェクトではキック・スターターなどの大型CFPには勝てず、また、科学基礎研究系のプロジェクトは後述するmicroryza のほうが盛り上がりを見せているため、今後の運営に工夫が求められそうです。

(追記:2014年2月19日)研究費獲得型から総合型に方針変換したようです。

 

PETRIDISH(現在、新規プロジェクト募集停止中)

トップページには「PETRIDISHは科学者のためのCFPである」と書かれています。また、サイト説明文にも「科学者は研究費を個人から集めることができるメリットが、個人は科学者から報酬(=論文の謝辞、フィールドワークで撮影した写真、科学者の講演など)を得られるメリットがある」と書かれているなど、運営者の意図がわかりやすく伝わるサイトであるように思います。

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全プロジェクト数はわかりませんがこれまでにサクセスしたプロジェクトは32個あるようです。ただ、2013年8月の段階では新規プロジェクトの募集は停止されています。

 

#SciFund CHALLENGE

既存のCFPであるRocket Hubに投稿された科学系プロジェクトに資金を募る活動をしています。

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科学コミュニケーションに興味のある大学教授や大学院生などが中心となり運営されているようです。

 

microryza

科学技術特化型のCFPでは最大規模ではないかと思います。

microryza に投稿されたプロジェクトに支援をして無事にサクセスすると、研究プロセスが詳細に書かれたレポートをPDF版で閲覧することができます

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各プロジェクトページには、研究計画や集めた資金の利用方法が動画で紹介されており、大学院生が行うプロジェクトのなかには集めた資金の全てを自らの給料に利用する旨を表明しているものもありました。また、生命科学分野や医学分野のプロジェクトが大半を占めていることもひとつの特徴です。

(追記:2014年2月19日)microryza から Experiment に名前を変えたようです。

 

Science Donors

現在準備中のCFPとのことですが、キャラクターが怪しいですね…。運営者情報もベールに包まれているので、これからの動きに注目したいと思います。

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おわりに

海外では種々の科学技術特化型CFPが立ち上がっているものの、全てのCFPが上手く回せているわけではありません。

継続的なサービスにするために重要なことは、運営側のビジョンを明確に提示した上で、「だれに、なぜ、どのような目的で利用して欲しいのか」を挑戦者と支援者に伝えていくことなのかもしれません。

参考文献